「三沢厚彦 ANIMALS in 熊本」展の関連イベントとして、講演会「熊本市動植物園はいま」を開催しました。熊本市動植物園から獣医師の上野明日香さんをお招きし、2016年の熊本地震以後の熊本市動植物園の様子をお話しいただきました。



14日の地震後すぐ、上野さんは園の動物たちやスタッフの安否確認、設備の破損の状況確認や、「ライオンが逃げ出した」というデマなどに、余震がつづくなか対応していました。さらに、16日の本震によって、園内の液状化など状況は悪化。猛獣舎の被害のため、トラやユキヒョウなどを他の動物園に移動する準備するなど、スタッフの食料が少なくなっていることを後から気が付くほどに迅速な対応に迫られる日々だったそうです。

また、動物たちにも異変が生じました。カバは水に潜ったまま出てこなくなったり、クジャクは揺れるたびに鳴いたり、多くの動物は食欲が落ち、落ち着かない様子だったそうです。被災したときと同じ場所にいるのを嫌がるなど、半年間にもわたって異変が見られた動物もいたとのこと。そのため、普段のトレーニングを減らしたり、ケアに努めてきたことが紹介されました。



閉園中は、ブログで状況を伝えると、問い合わせを遠慮していた方たちも動物の様子を知ることができ、お客さんとのコミュニケーションが増え、スタッフも元気をもらうことが多かったといいます。部分開園を始めてから、多彩なイベントや閉園部分で暮らしている動物の元気な姿も紹介があり、ご来場いただいた皆さんもほっとした様子で話を聞いていました。
上野さんをはじめ、熊本市動植物園のスタッフがいかに動物を愛し、熊本地震以降も真摯に対応されていたかがわかる貴重な講演会となりました。

| 三沢厚彦展 | 02:00 PM | comments (x) | trackback (x) |