「ジブリの立体建造物展」の関連イベントとして、連続シリーズトーク「熊本の建物のこれから」第二回「城下町のこれから」を開催しました。
 熊本の城下町である新町(しんまち)と古町(ふるまち)の建物の魅力や、地震後の保存の取り組みについて、宮本茂史(新町古町町屋研究会)さん、長野聖二(新町古町町屋研究会)さん、吉野徹郎(新町古町復興プロジェクト事務局長)さんの3人よりお話をうかがいました。



 はじめに、長野さんから、街並みや町屋の建築についてのお話がありました。新町古町では、区画の変化はほぼなく、明治、大正、昭和とレイヤーが重なっていくようにできているという町のつくりから、町屋の定義や、平入りが基本といった新町・古町地区の建築的な特徴をお話しいただきました。加えて、改築でおしゃれに変わった町屋が活用されている例も紹介され、次世代につながる町屋の姿を知ることができました。



 続いて、宮本さんからは、新町古町町屋研究会のこれまでの活動をご紹介いただきました。ご自身も新町生まれで建設業を営むかたわら、2006年から活動をされています。
町屋の調査や所有者との交流に始まり、町屋のおそうじ体験といったイベントの開催や、空家の活用のアドバイス、市電の敷石の再利用まで、家屋の所有者や有志との充実した10年の歩みに驚かされました。宮本さんは「目標があってやるというより、頼まれたことに応えてきた感じ」とお話しされ、柔軟な姿勢が様々な活動につながっていく様子がうかがえました。



 最後に、吉野さんは、熊本地震後、避難生活を過ごすなかで発想したプロジェクト「おせっかいし隊」の活動をお話しされました。新町・古町を中心として活動しており、復興支援として家の片付けを手伝うだけではなく、補修できる部分などを伝えて、適切な処置ができるようサポートするなど、建物も人の気持ちも前向きにする活動を展開されていることがわかりました。

 身近でかつ伝統的な熊本の住まいに関する話題に、参加者のみなさんも聞き入っていました。

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