生人形と江戸の欲望展、反近代の逆襲2 平成18年6月24日土曜日から10月22日日曜日

反近代の逆襲II
―生人形と江戸の欲望


 展覧会情報

展覧会期:
2006年6月24日(土)〜10月22日(日)
休館日:
火曜日
開館時間:
午前10時〜午後8時(展覧会入場は7時30分まで)
*8月12日(土)、13日(日)は午後10時までの夜間開館(展覧会入場は9時30分まで)
観覧料:
■一般1200(1000)円
■高・大学生800(600)円
■熊本市内小学生・中学生無料
■熊本市外小・中学生400(300)円

*名札・生徒手帳など証明できるものをお持ちください
*( )内は前売および20名以上の団体料金。小・中学生の( )は団体割引のみ。前売はありません。
*前売券は美術館受付、熊本市内プレイガイドでお求めください。
*身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、または熊本市民で70才以上の方は割引があります。
*10月12日(木)は、開館記念日のため、観覧無料です。

*本展は熊本市現代美術館のみの開催で、他館への巡回はありません。
*会期中、相撲関係作品の一部展示替をいたします。

会場:
熊本市現代美術館[ギャラリー I・II ]
主催:
熊本市、熊本市美術文化振興財団、熊本日日新聞社、RKK熊本放送
後援:
熊本県教育委員会、熊本市教育委員会、熊本県文化協会、熊本県美術家連盟、NHK熊本放送局、エフエム熊本、熊本シティエフエム
助成:
芸術文化振興基金、財団法人ポーラ美術振興財団
協力:
松本喜三郎顕彰会、熊本相撲甚句会、上通ファンクラブ、相撲博物館、藤浪小道具株式会社、佐喜眞美術館、ライデン国立民族学博物館(オランダ)、スティベルト博物館(イタリア)
すべてのお申込・お問いあわせ:
熊本市現代美術館
電話番号 096−278-7500
 
 

 平成16年に開催し、全国を驚かせた「生人形と松本喜三郎−反近代の逆襲」展に続く、生人形展の第2弾。
  今回の目玉は喜三郎のライバルでもあった、もう一人の熊本生まれの天才生人形師、初代安本亀八の明治23年(1890)制作の相撲生人形「野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)」。この熊本市現代美術館がデトロイト美術研究所から購入した亀八最大級の優品をはじめ、今回、日本での初公開となるスティベルト博物館(フィレンツェ)の「武士像」、また、江戸の庶民の生活風俗を伝える小生人形の作品など、幕末の「ええじゃないか」運動以降、明治への大転換期にあって、見世物細工の華であった生人形芸術の質の高さを改めて世に問い、生人形や浮世絵といった民衆芸術に託した、 民衆の欲望とは何を意味するものであったかを検証する、「反近代の逆襲」シリーズの第2弾となるものです。

展覧会内容のご紹介

●甦る相撲生人形
《相撲生人形−野見宿禰と当麻蹶速》は、明治23年(1890)に初代安本亀八が当初、第三回内国勧業博覧会に出品するために制作しましたが、完成が遅れ、後に浅草寺の境内に展示されていたところ、その出来栄えに感動したアメリカ人収集家フレデリック・スターンが購入し、デトロイト美術研究所に寄贈された、現存作品としては、亀八の最大級にして、最も優れた生人形作品のひとつです。 平成17年に熊本市現代美術館がデトロイト美術研究所より購入し、亀八の生まれ故郷熊本で初公開いたします。

安本亀八《相撲生人形 野見宿禰と当麻蹶速》 170x150x160cm 1890年 熊本市現代美術館蔵 撮影:堤勝雄
 
江都勧進大相撲浮絵之図
《江都勧進大相撲浮絵之図》 36.9x24.7cm 天明〜寛政 相撲博物館(東京都)蔵

●相撲のコスモロジー
 『日本書紀』に、相撲の起源として記される「野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹶速(たいまのけはや)」の戦い以後、今日にいたるまで、相撲は単なるスポーツであることを超え、天下泰平、子孫繁栄、そして五穀豊穣の祈願の表れとして、日本人の精神に大きな影響を与えてきました。
 しかし、その原型としての相撲の古法は「突く、殴る、蹴る」の三手といわれ、生死を賭しての神との交わりを意味する神事であったことが窺われます。
 また江戸時代に始まる職業相撲、これが今日の大相撲の始まりとなるものですが、人気力士同士による生と死の瞬時のドラマは、時代を越えて、民衆の魂を救済し続けています。 また、熊本市にはかつて相撲司家の吉田司家があり、現在も熱狂的な相撲ファンの多いところとして知られています。

●江戸の内宇宙−浮世絵の曼荼羅世界
 江戸時代に生まれた浮世絵は、主として明治の初めまで、その名の通り、民衆の生をそのまま受け止め、時世の風俗とありのままの人間をリアルタイムに再現した民衆芸術です。
 題材も聖と俗をともに肯定し、あらゆる欲望に対応するかのように、バラエティに富み、名所絵、美人画、役者絵、相撲絵、歴史画、春画、鯰絵、死絵、無残絵などが生み出されました。生人形が江戸の欲望を引き受けた立体版なら、その平面が浮世絵だったといえるでしょう。今回は生人形を包み込むように、江戸の浮世絵文化を今日に伝える、佐喜眞美術館所蔵の、高見澤研究所による復刻浮世絵を曼荼羅のように展示いたします。

歌麿版画集芳《ポッピンを吹く女》 38.6x25.5cm 1971年 佐喜眞美術館(沖縄県)蔵

●ヨーロッパが求めた「江戸」の息遣い
スティベルト博物館の武士像 スティベルト博物館は、フレデリック・スティベルトによって集められた、15-19世紀のヨーロッパの武具を核とする世界の武具、甲冑の博物館です。日本の武士群像の中心人物となる、この等身大の弓をひく武士は、通常は甲冑で隠されている胴体の部分も省略することなく、全身が丁寧に作られています。現時点で制作者は特定されていませんが、松本喜三郎ら生人形師全盛の時代の卓越した技術を伝えています。

《武士》 162x110x52cm 1871年頃 スティベルト博物館(フィレンツェ、イタリア)蔵 撮影:永石秀彦
《犬》 7x12x5.5cm 19世紀前半 ライデン国立民族学博物館(オランダ)蔵
 
《籠売り》 37.5x18x20(人形)、59x61x31(籠台)cm 19世紀後半 ライデン国立民族学博物館(オランダ)蔵

ライデン国立民族学博物館の生人形 ライデン国立民族学博物館は、鎖国時代に公的な交流のあった唯一の国として、ヨーロッパでも例をみない大規模な日本コレクションを所蔵しています。今回は、長崎出島に滞在したブロムホフ、シーボルトらが収集した小動物、また19世紀終盤の大工、植木売り、籠売りなど、商人、職人を表した小人形をご紹介します。

●祭りと生人形
祭りと生人形のつながりを、日田の山鉾、桐生祇園祭、喜三郎の木馬などで紹介します。

●藤浪小道具−現代歌舞伎と生人形
 歌舞伎芝居が浅草へ移転後、市村座の小道具方を担ったのが、現在の藤浪小道具の初代藤浪與兵衛氏でした。明治5年(1872)に企業として小道具業を立ち上げ、生人形師たちの崇高なる匠の技を歌舞伎の小道具制作に甦らせ、後に歌舞伎のあらゆる小道具の対応を可能とした、日本を代表する演劇の小道具会社を作り上げました。
 特に「切首」は時代時代の名優の顔を忠実に再現したもので、その中には初代安本亀八の銘の入ったものも保存されており、生人形と歌舞伎の小道具制作の強い関係を窺わせます。

安本亀八《切首》 24x17x21cm 藤浪小道具株式会社(東京都)蔵
*松本喜三郎《素戔鳴命》の展示は7月24日まで、 相撲関係資料(相撲博物館蔵)は期間中に展示替をいたします。
展覧会期間中の関連イベント
生人形展記念講演会
フランチェスコ・チヴィータ (1)6月24日(土)
「スティベルト博物館と日本コレクション」
フランチェスコ・チヴィータ(スティベルト博物館学芸員) 逐次通訳つき
山口昌男 (2)7月9日(日)
時間:14:00-15:30
「江戸の欲望と想像力」 山口昌男(文化人類学者)
※体調不良のため、 事前に行ったインタビューによるビデオレクチャーとなりました。
佐喜眞道夫 (3)8月20日(日)
「佐喜眞美術館のコレクション」 佐喜眞道夫(佐喜眞美術館館長)
沖浦和光 (4)9月10日(日)
「「悪所」という名のコスモロジー」 沖浦和光(桃山学院大学名誉教授)
■日時 14:00〜15:30
■場所 ホームギャラリー
■料金 無料

生人形展トークショー 「キャラクター文化と生人形」  
伊藤剛
伊藤剛
宮本大人
宮本大人
伊藤剛(漫画研究家)、宮本大人(北九州市立大学助教授)、
司会:金澤韻(川崎市市民ミュージアム学芸員)
■日時 7月17日(月・祝) 14:00〜15:30
■場所 ホームギャラリー
■料金 入場無料

CAMKレクチャー・カレッジ
(1) 6月25日(日) 「反近代の逆襲II 生人形と江戸の欲望」 南嶌宏(当館館長)
(2) 7月23日(日) 「生人形の構造」 冨澤治子(当館学芸員)
(3) 8月27日(日) 「欧米の生人形コレクション」 南嶌宏(当館館長)
※都合により、講師が変更となりました。
■日時 14:00〜15:30
■場所 ホームギャラリー
■料金 無料

生人形鑑賞会
熊本市内に残る松本喜三郎の代表作を見学いたします。
(1) 7月16日(日)
15:00〜16:00
松本喜三郎/江島栄次郎《谷汲観音像》(1871/1898)(浄国寺:熊本市高平2-20-35)案内:中山義紹(浄国寺住職)
(2)7月22日(土)
15:00〜16:00
松本喜三郎《聖観世音菩薩像》(1887)(来迎院:熊本市春日6-8-8)案内:小川修海(来迎院住職)

定員各回20名。事前に熊本市現代美術館(tel:096-278-7500)へお申し込みください。いずれも当日現地集合、現地解散です。駐車場に限りがございますので自家用車でのご来場はご遠慮ください。


ファミリー・ツアー
親子で展覧会を楽しみましょう。0歳から6歳の子供と大人の組み合わせでご参加ください。
■期間 (1)8月12日(土) (2)9月10日(日) (3)10月1日(日)
■時間 10:30〜11:30
■場所 展覧会場内
大人は展覧会チケットが必要です。各回 7組(要事前申込)・ ガイド:坂本顕子(当館学芸員)
事前に熊本市現代美術館(tel:096-278-7500)へお申し込みください。

プレママ美術館ツアー
お友だちづくりも兼ねたアートとの出会いを楽しみませんか。授乳室やキッズサロンなど、便利な設備もご案内いたします。*妊娠初期から臨月までのプレママが対象。ご家族、ご友人ともご一緒にお申込みいただけます。
■期間 10月11日(水)
■時間 10:30〜12:00
■場所 展覧会場内
展覧会チケットが必要です。 定員15名(要事前申込)・ガイド:坂本顕子(当館学芸員)
事前に熊本市現代美術館(tel:096-278-7500)へお申し込みください。

ギャラリートーク
学芸員が展覧会のテーマ別解説案内をいたします。 展覧会チケットをお持ちのうえ、会場入口にお集まりください。 当日、事前にごらん頂き、再入場券(会場出口で発券)をお持ちの方も参加できます。
■日時 会期中の土日祝の15:00〜15:30(の付く日は16:00〜になります)
■場所 展覧会場内
A:スティベルト博物館所蔵の武士像:本田代志子(当館主任学芸員)
6/25(日)[16:00〜]、7/2(日)、7/8(土)、7/15(土)、7/16(日)、7/17(月祝)[16:00〜]、
8/5(土)、8/13(日)、8/19(土)、8/20(日)[16:00〜]、 9/2(土)、9/9(土)、9/16(土)

B:安本亀八の相撲像:冨澤治子(当館学芸員)
6/24(土)[16:00〜]、7/1(土)、7/9(日)[16:00〜]、7/29(土)、7/30(日)、8/6(日)、
8/12(土)、8/26(土)、8/27(日)[16:00〜]、 9/3(日)、9/10(日)[16:00〜]

C:浮世絵 :坂本顕子(当館学芸員)
7/22(土)、7/23(日)[16:00〜]

9/17以降の日程は後日お知らせいたします。
テーマ、担当学芸員は予告なく変更する場合がございます。
グループ・ツアー
10名以上のグループで鑑賞の場合、学芸員による企画展の解説案内をいたします。お早めに電話(熊本市現代美術館tel:096-278-7500)で日時を相談のうえ、お申し込み下さい。参加者は展覧会チケットが必要です。

子供芸術大学特別講座「アートキャンプ」
※定員に達したため締め切りました。
自然の中での造形遊びなどを体験します。
■日時 7月29日(土)〜30日(日)
■場所 小学生10名(要事前申込)
■参加費 食事代・保険料など実費(2000円程度)
■隊長 南嶌宏(当館館長)
事前に熊本市現代美術館(tel:096-278-7500)へお申し込みください。

海老原喜之助「蝶の忌」壁画鑑賞ツアー
海老原喜之助「蝶の忌」壁画観賞ツアーは、壁画の移転工事のため、見学会は中止となりました。
9月17日当日は、14時より当館ホームギャラリーにおいて、館長によるお話会を行います。
お話会に関しては、申し込み、参加費は必要ありません。
■日時 9月17日(日)14:00〜
■料金 入場無料
■場所 現代美術館ホームギャラリー
■司会 南嶌宏(当館館長)

CAMK4周年開館記念日インターナショナル・アドバイザー講演会 
ハイディ・ベネガス 「アートは人生そのもの−中南米の現代美術から」
ハイディ・ベネガス(プエルトリコ芸術大学教授)
■日時 10月12日(木)14:00〜
■場所 ホームギャラリー
■料金 入場無料
講演は英語で行われます。逐次通訳あり。
上映会・コンサート
人形劇公演
(1)7月2日(日) 「アレクサンダとぜんまいねずみ」人形劇団チャパ
(2)9月2日(土) 「みにくいあひるの子」人形劇ファンタジア
(3)10月14日(土)  「田舎のねずみと都会のねずみ」人形芝居かすぺる
■時間 14:00〜
■場所 アートロフト
■料金 入場無料

夜間開館日の映画特別上映
(1)8月12日(土) 「A.I.」 143分 アメリカ映画 2001年
(2)8月13日(日) 「天と地」 141分 アメリカ映画 1993年
■時間 19:00〜
■場所 ホームギャラリー
■料金 入場無料

FOCUS ON ASIA - FUKUOKA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL
アジアフォーカス・イン・熊本
優れたアジア映画を紹介する映画祭が熊本でもお楽しみいただけます。
■日時 10月4日(水)〜9日(月・祝) 14:00〜
■場所 アートロフト
■料金 当日券のみ500円(13:00より整理券を配布)先着80名。
10月4日(水) 「あぶない奴ら」 111分 韓国映画 2004年
10月5日(木) 「ビッグ・ドリアン」 75分 マレーシア映画 2003年
10月6日(金) 「逃亡者トゥムル」 107分 モンゴル映画 2004年
10月7日(土) 「少女ヘジャル」 120分 トルコ映画 2001年
10月8日(日) 「ひと呼吸」 107分 インド映画 2003年
10月9日(月) 「一度でいいからキスしたい」 90分 インドネシア映画 2002年
■主催 アジアフォーカス・福岡映画祭実行委員会、熊本市現代美術館
■協力 福岡市総合図書館/アニープラネット/タキ・コーポレーション

月曜ロードショー
毎週月曜日の午後のひとときを、美術館で映画を楽しみませんか。今回はリクエスト特集です。
■日時 14:00〜、18:00〜の2回上映
■場所 アートロフト
■料金 無料
各内容は月曜ロードショーのページでご案内しています。

ミュージック・ウェーブ
企画展開催中の第2、4金曜日に、様々なジャンルのミュージシャンによるコンサートを行います。
■日時 18:30〜
■場所 ホームギャラリーまたはアートロフト
■料金 無料
各内容はミュージック・ウェーブのページでご案内しています。

ホームギャラリー・コンサート
午後7時からの30分間、ピアノボランティアによる演奏が毎日行われます。
すべてのお申し込み、お問い合わせ先は電話096-278-7500です。
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