生人形と松本喜三郎 反近代の逆襲

2004年6月5日(土)-8月15日(日)

休館日 火曜日
開館時間 午前10時から午後8時(展覧会入場は午後7時30分まで)
8/14,15 は午後10時まで(展覧会入場は午後9時30分まで)
観覧料 一般/1,200円(1,000円) 大学生/800円(600円) 高校生/600円(400円)
熊本市内小学生・中学生/無料名札・生徒手帳など証明できるものをお持ちください)
市外小学生・中学生/400円(300円)
*( )は前売りおよび20名以上の団体料金です。
会 場 熊本市現代美術館  [ギャラリー I・II ]


  熊本が生んだ稀代の いき(活)人形師松本喜三郎は文政八年(一八二五)に熊本の井手ノ口町(今の熊本市迎町)に生まれました。若き頃から地蔵祭りの「造りもの」で名を馳せ、やがて大阪難波新地、そして浅草奥山へと進出。まるで生きているかのような等身大の人形を立ち並べた、「浮世見立四十八癖」、「西国三十三所観音霊験記」などの見世物興行で、一世を風靡しました。それはかの高村光雲が震えるように感動した作品の数々だったといわれています。

 しかし、幕末から明治への大転換期にあって、西洋崇拝の風潮が高まる中で、また見世物細工が美術より一段低く見られるという偏見の中で、その存在は次第に忘れられ、近代の闇の中に消し去られることとなりました。

本展は松本喜三郎を中心に、生人形の歴史的な輪郭をその闇の中から浮かび上がらせることで、改めて「近代」の意味を問い直し、併せて、アメリカ、ドイツをはじめ、海外で発見した新資料の紹介を通して、文化交流史における生人形の存在の意味を明らかにするものです。
 




身近な素材や日用雑貨を用いて、歴史上の人物や動物などを本物そっくりに仕立てる「造りもの」は、熊本に古くから伝わる民衆芸術の華のひとつです。脈々と受け継がれてきた現代の「造りもの」が、生人形の世界へのプロローグとして、皆さんをお迎えします。


矢部町八朔祭つくりもの
《矢部は茶どころ酒どころ大酒(サケ)くらい!》 2003 年 (参考作品)


熊本市の浄国寺と来迎院で大切に守られてきた《谷汲観音像》と《聖観世音菩薩像》をはじめ、稀代の活人形師松本喜三郎の貴重な作品が一堂に並ぶ、最初で最後の機会となります。ぜひお見逃しのないように!

 
松本喜三郎・江島栄次郎
  《谷汲観音像》(部分)
1871/1898 年 熊本市浄国寺蔵
撮影:永石秀彦


喜三郎のライバルでもあった初代安本亀八の貴重な作品と、二代、三代へと継承され、「人形ハ、ヤスモトカメハチ」と謳われた、亀八系生人形の写実の真髄をご覧いただきます。
 

 
安本亀八(三代)《少年像》
1901年 個人蔵 撮影:佐藤喜之


明治三十一年(一八九八)の全面修理によって《谷汲観音像》を生き返らせた、肥後熊本のもう一人の天才生人形師江島栄次郎。大人気を博した生人形興行「清正公一代記」を彩った作品の数々を展示します。
 


江島栄次郎《頭部(清正公一代記より)》
1935 年 熊本市立熊本博物館蔵
撮影:稲原豊命


見世物から出発した生人形は、その後、人形芸術、百貨店のマネキン人形、医学用の精巧な模型というように、多様な展開を見せました。今日の「フィギュア」芸術にもつながる生々しさの根源とは、いったいどこから生み出されるものだったのでしょうか。


作者不詳 《相撲像》 推定 1910 年代
個人蔵  撮影:佐藤喜之


アメリカ農務局長で北海道開拓使顧問のお雇い外国人ホーレス・ケプロンによって注文された、喜三郎作品の二点のうちの一点。スミソニアン自然史博物館の収蔵庫に眠り続けた《貴族男子像》(一八七八)を一二六年ぶりに里帰りさせ、おなじくスミソニアン所蔵の伝説の生人形師鼠屋伝吉の作品とともに、いよいよ日本で初公開いたします。


百物天真創業工
松本喜三郎


幕末に横浜の商社が、日本文化紹介のため海外の博物館に生人形の販売を始めます。ここでは海外におけるその広範な生人形の存在の様子を、ドイツのブレーメンにあるウーバーゼー博物館の作品を中心にご紹介します。
 


《 花見踊り 》 ブレーメン市立自然史・民族学・
商業博物館での展示風景  1910-20年代
資料提供: Archiv Uebersee-Museum Bremen, Germany


*期間中、一部の作品の展示替えをいたします。





生人形展記念トーク
6月5日(土) 14:00-15:30

ホームギャラリー[入場無料 ](逐次通訳付)

「ヨーロッパにおけるアジア像 - 生人形を手がかりとして」

・ リュディア・イッケ=シュヴァルベ
(ザクセン州立民族学コレクション - ドレスデン民族学博物館学芸員)

・ アンドレアス・リューダーヴァルト
(ウーバーゼー博物館学芸員、ブレーメン)


 
生人形連続セミナー
毎回 14:00-15:30

ホームギャラリー[入場無料 ] 

6月6日(日) 「反近代の逆襲」
南嶌宏
(熊本市現代美術館館長)
6月13日(日) 「日本の生人形」
冨澤治子
(熊本市現代美術館学芸員)
6月27日(日)

「松本喜三郎伝」
土居郁雄
(国立文楽劇場)

7月4日(日)

「ヨーロッパの生人形」
本田代志子
(熊本市現代美術館学芸員)

7月18日(日)

「見世物文化と生人形」
木下直之
(東京大学大学院教授)

8月1日(日) 「生人形にみる文化交流」
小林淳一
(江戸東京博物館学芸員)



ワークショップ 
「 夏休み子ども芸術大学特別講座―アートキャンプ編―」

7月29日(木)−30日(金)

恒例の芸術大学は、なんと金峰山少年自然の家が舞台。大自然とアートとの遭遇!


期日: 7月29日(木)−30日(金)1泊2日
募集人数: 小学生 10 名(申し込み制)
参加費: 食事代・保険料などの実費が必要になります(2000円程度)
場所: 金峰山少年自然の家 熊本市池上町字西平山(現地集合、解散)
隊長: 坂本顕子(熊本市現代美術館学芸員)
内容:

自然の中での造形遊び、つくりものなどを制作します。

ワークショップ 
「 CAMK流アート・ウォーキング−熊本再発見ツアー 」
7月11日(日) 10:00-

熊本の街をCAMK(熊本市現代美術館)流の視点で、再発見します。館長の南嶌宏が皆さんをナビゲート。大人の寄り道、アート・ウォーキングを楽しみましょう!

日時: 7月 11日(日)
午前 10 時から 2 時間程度
募集人数: 大人 15 名(事前申し込み制)
参加費: 保険料等の実費が必要になります。
昼食持参。
ガイド: 南嶌宏(熊本市現代美術館館長)



ワークショップ 
大人のためのワークショップ モクモク工房」
7月1日(木)・15日(木)・8月5日(木)
8月12日(木)・ 26日(木)・ 9月9日(木)

キッズファクトリー[要参加費]

・第 10 回
「スーパーリアルおもしろ人形陶芸」
: 7 月 1 日(木)・ 15 日(木)・ 8月 5日(木)

・第 11 回
「アクセサリー」
: 8月 12日(木)・ 26日(木)・ 9月 9日(木)

日時: 午後 2時〜 5時
(各1日で制作・色付・完成作品鑑賞)
定員: 各回 10人(事前申し込み制)
材料費: 第10回 600 円、第11回 700 円
場所: キッズ・ファクトリー
講師: 山室りさ(熊本市現代美術館モクモク工房代表)
ワークショップお申し込み

すべてのワークショップのお問い合わせ・お申込み先電話番号はこちらです。

TEL: 096-278-7503 (学芸課)
あるいは 278-7500 (代表)

 




ギャラリーツアー

会期中の土日祝 15:00−

展覧会会場内[展覧会入場チケットが必要 ] 

会期中の土日祝の午後 3 時(講演会、セミナー開催日は午後 4 時)より、本館学芸員による展覧会解説ツアーを行います。
(展覧会入場チケットが必要です)



月曜ロードショー
毎週月曜日
15:00-/18:00-(2回制)

アートロフト[入場無料 ]

会期中の毎週月曜日、 美術館で映画を楽しみませんか。今回は日本映画特集です。

6月7日 「アイ・ラブ・ユー」
(111分/1999年/日本映画)
6月14日 「夢」
(120分/1990年/日本映画)
6月21日 「BeRLiN」
(107分/1995年/日本映画)
6月28日 「白い船」
(108分/2001年/日本映画)
7月5日 「歩く、人」
(103分/2001年/日本映画)
7月12日 「ユメノ銀河」
(90分/1997年/日本映画)
7月19日 「うなぎ」 (夜は17:45〜)
(134分/1999年/日本映画)
7月26日 「アカシアの道」
(90分/2000年/日本映画)
8月2日 「秘祭」
(103分/1997年/日本映画)
8月9日 「blue」
(116分/2003年/日本映画)

6月7、28日は上通ファンクラブ共催


ロードショー番外編:
8月14日(土)・8月15日(日) 20:00-

ホームギャラリー[入場無料 ]

22時までの夜間開館の両日は35mmフィルムの特別上映。


8月14日(土) 「新撰組」
(93分/1958年/日本映画)
8月15日(日) 「東海道四谷怪談」
(79分/1959年/日本映画)

両日ともキネコム協力。
ミュージック・ウェーブ
毎週金曜日 18:30-

アートロフトまたはホームギャラリー[入場無料 ]

会期中の毎週金曜日の夜に、様々なジャンルの地元ミュージシャンによるコンサートを行います。


6月11日 TOKA  19:00-
[ ロック ]
6月18日 鬼★弁慶
[ インプロビゼーション ]  
6月25日 JAMWEC(ジャムウェック)
[ 和楽器・洋楽器のコラボ ]
7月2日 RISKY.
[ コーラス ]  
7月9日 小山祐喜子と小出史
[ 語りと歌の夕べ ]
7月16日 村上悟
[ 津軽三味線 ]  
7月23日 熊本日独協会合唱団   19:00-
[ 合唱 ]
7月30日 HOTCLUB202 ※2
[ ジプシー・スウィング ]  
8月6日 J ・ふりーず  19:00-
[ ウクレレ・アンサンブル ]
8月13日 フルート・アンサンブル
[ フルート四重奏 ]  

※2 
7月30日の出演者は、都合により変更になりました。どうぞご了承ください。


ホームギャラリーコンサート
毎晩 19:00-

ホームギャラリー[入場無料 ]

毎日19時よりピアノ・コンサートを開催しています。






いき人形と松本喜三郎 百物天真創業工 反近代を貫いた肥後もっこす 
 主 催 熊本市、熊本市美術文化振興財団、熊本日日新聞社、熊本放送
 協 賛 日本航空
 協 力 松本喜三郎顕彰会、浄国寺、来迎院、NHK熊本放送局
 後 援 熊本県教育委員会、熊本市教育委員会、熊本県文化協会、熊本県美術家連盟、エフエム中九州、熊本シティエフエム、熊本リビング新聞社、ウルトラハウス、メディアプレス、エヌオー出版、熊本ハイカラ、上通ファンクラブ、大阪ドイツ文化センター、福岡アメリカン・センター
 
熊本市現代美術館
〒860-0845 熊本市上通町2番3号
TEL/096-278-7500 FAX/096-359-7892 E-mail/gamadas@camk.or.jp


Copyright (C) Contemporary Art Museum, Kumamoto. All Rights Reserved.
 

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