建築や自然風景など現実の世界に着想を得つつ、そこから自らの想像力をもとに作品上でしか表現しえない独自の世界を構築していったM.C.エッシャー。謎に満ちた彼の作品は、美術はもちろんデザインや数学、心理学など幅広い分野から多くの関心を集め、現在に至るまで我々の想像力を刺激し続けています。本展では、このエッシャーの作品を出発点に、ダリ、マグリット、福田繁雄といっただまし絵の巨匠から現代のイリュージョニストまで、エッシャーと重なる指向や関心をもった古今の作家たちの作品約200点をご紹介します。
生前は周囲の無理解に苦しんだエッシャーですが、現代までの歴史を見渡せば、彼同様に作品上で見慣れた世界像の破壊と再構築を試みている「同志」は少なくありません。それらの作品はただ荒唐無稽な感覚の楽しみを与えてくれるだけでなく、ときには虚構を通して、世界の本質を“現実以上に”鮮やかに描き出すこともあります。エッシャーに端を発する「だまし絵的な想像力」は、私たちの現実世界に対する認識をも覆していくのです。
だまし絵の迷宮世界を旅しながら、常識の揺らぎをお楽しみいただければ幸いです。
※ 本展は、2016年4月14日より発生した熊本地震により、4月15日以降展示が中断されました。 それにともない、4月15日以降の本展関連イベントも中止・延期となりました。 その後、5月18日〜6月12日の期間、展示内容を再構成し「だまし絵王エッシャーの挑戦状(特別展示)」として、本来の展示作品の中からエッシャー作品約40点のみをギャラリーVと井手宣通記念ギャラリーにおいて観覧無料で展示いたしました。 だまし絵王エッシャーの挑戦状(特別展示)
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