「熊本市被災文化財のいま」展の関連イベントとして講演会「文化財レスキューの現場」をホームギャラリーで行いました。

熊本市立熊本博物館学芸員の木山貴満さんを講師に招き、多くの写真を見ながらお話しいただきました。



初めに、熊本博物館と塚原歴史民俗資料館の概要と、その被災後の状況などをご紹介。
曲がってしまった収蔵庫棚の固定金具からは、地震のエネルギーの大きさが改めて感じられました。
また熊本城天守閣内の資料救出についてもご紹介いただきましたが、天守閣に入れたのは地震から2か月後で、一度に入れる人数も時間も制限がある中で、雨漏りで傷んだ資料を優先して手運びで搬出したとのことでした。



文化財レスキューの活動については、地震直後の一般の方への資料保全の呼びかけ内容から、寺社や民家での作業の様子や、救出後の資料の処置や保管についてもご紹介いただきました。
実際の作業の様子も写真でたくさんご紹介いただきましたが、雨漏りでカビだらけになった建物や、倒壊の恐れのある建物での作業写真からは、レスキュー現場の過酷さが伺えました。



さらに、文化財レスキューを行う中で、地元の資料所有者と交流する機会が生まれ、これまで知られていなかった資料や、城下町の歴史に触れる機会となった、というお話もありました。
講演の最後には、「文化財は(実は)身の周りにあふれているもの」というお話があり、貴重な資料を後世に残していくために、「身近なものでも文化財となりうる」という意識をもつことの重要さが語られました。

講演後の質疑応答では、文化財というものの考え方から、自宅の資料の具体的な管理方法まで、様々な質問が発せられ、木山さんは自身の考えを添えながらそのひとつひとつに回答していました。

| G3/井手記念室 | 02:00 PM | comments (x) | trackback (x) |