「川内倫子の写真と特徴」と題して、本展の担当学芸員によるCAMKレクチャーカレッジを開催しました。



初めに、そもそも「写真」って何でしょう?という導入から、写真を語る上でキーワードとなる「決定的瞬間」「ニューカラー」「セットアップ」「デッドパン」などコンテンポラリーアートとしての写真のスタイルについて、写真家ホンマタカシや批評家シャーロット・コットンの言葉を引用しながら解説し、その上で川内作品に見られるこういったスタイルの取り入れ方について紹介されました。
続いて、川内倫子さんが「写真」によって、何を表現しようとしているのかを、川内さんの作品集や、新作「川が私を受け入れてくれた」シリーズの制作過程で語られた言葉を基に解説を行いました。



本来は「写真」という一瞬を「記録」する装置を用いながらも、あえて「タイムレス」で「場所性のない」ものを目指し、写真では失敗とされる露出過多、被写体のブレ、ピンボケといったものを効果的に用いることで、見知らぬ誰かの「記憶」と共感・共有する作品を川内さんは生み出しています。そこには、「写真」による表現の可能性を見る者に気づかせる役割も担っているといえます。

| 川内倫子展 川が私を受け入れてくれた | 02:00 PM | comments (x) | trackback (x) |