熊本随一の公共ホールとして市民のみなさんに親しまれている県立劇場は、今回の熊本地震を受け、音楽や演劇によって被災された方々の「こころの復興」を支えていくために「アートキャラバンくまもと」という演奏家派遣型アウトリーチやワークショップを行っています。

今回はその事業の一環として、世界的な指揮者として知られているヤマカズこと山田和樹さんと、フルート・ピッコロ奏者の西田紀子さんが、当館ホームギャラリーにて演奏と楽しいおしゃべりからなるミニコンサートを開催してくださいました。



宮沢賢治が作詞作曲した『星めぐりの歌』から演奏はスタート。優しいメロディラインは私たちの心をぽっと温めてくれます。
さらに、熊本の代表的な民謡として有名な『五木の子守唄』や、武満徹の『死んだ男の残したものは』など、思わず口ずさんでしまいそうなポピュラーソングが続きます。
そして、ヴァイオリンの難曲と言われるパガニーニの『24の奇想曲』を西田さんがフルートで演奏。まさに超絶技巧といえるその技に、会場中が息をのんで見つめていました。

曲の合間には、ヤマカズさんが軽快な語り口で音楽へのこだわりや音の豆知識を披露してくださいました。



「1つ1つの演奏は旅である」というヤマカズさん。今回のコンサートもあらかじめ曲目だけ決めておき、曲順はその場で決めるというユニークなものでした。
また、譜面を見ないことで自由になれるというお話や、西田さんが解説してくださった「差音」と呼ばれる現象についてのお話も興味深かったです。

このあと、山中千佳子『すぎゆく春に』、プーランク『愛の小径』、ガリアーノ『マルゴーのワルツ』、ピアソラ『ブエノスアイレスの冬』を演奏していただき、コンサートは大盛況のうちに幕を下ろしました。

お二人の奏でるやわらかな音色は、まるで春の陽気のように私たちを包み込んでくれました。ヤマカズさん、西田さん、素敵な時間をありがとうございました。

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